3月16日〈バキュームテクニック講習会〉稲岡

3月16日大阪府歯科保険医協会主催のバキュームテクニックの講習を受けてきました。

まず30分ほどの講習を受け、その後3時間程の実技でした。

講習内容

《バキュームの目的》

粉塵や液体の吸引…ハンドピースから出る切削粉塵、唾液などを吸引し、粉塵の飛散を防ぐ

治療スペースの確保…バキュームチューブを利用して、舌、頬、口唇の圧排などを行う

軟組織の保護…患者さんの頬、唇、舌をタービンから保護する

不快感の除去(衛生の維持)…切削粉塵や臭い、唾液、水による患者さんの不快感を取り除く

鼻腔気道の確保…患者さんの不安、不快感を取り除く。誤嚥を防ぐ

次にバキュームの操作です。

バキュームチップの方向は、バキュームシリンジとチップのジョイント部を基点に三方向に向きを変えられるので挿入部位により方向を適切に変える事によって、手首に負担を掛ける事なく操作できます。ラバーチップの開口方向は患者さんの口腔内を時計の文字盤に見たてて適切な方向にあてます。

チップの開口方向を変えないと患者さんだけでなく助手にも指や手首にストレスが加わるので意識する必要があります。

《上顎右側臼歯部》

バキュームを左口角から挿入しラバーチップ先端を口蓋隆線に軽くあてます。

切削を行う歯の口蓋側でチップの切り口を歯列に平行にしながら、切り口を数ミリメートル歯面から離して保持します。

《下顎右側臼歯部》

バキュームチップを上顎咬合平面に平行に挿入します。この時舌根部を押さえ過ぎないように注意しないといけません。バキュームチップの先端を7の舌側からわずかに離れた所に位置させます。

切削中、チップの背部で舌を圧排していないと舌縁を傷つけてしまいます。

《上顎左側臼歯部》

頬側の方向に10度の角度をつけ、上顎左側合平面に沿ってラバーチップを口蓋隆線に挿入し口角に注意しながら頬側部にスライドさせて吸引をします。この時口角を引っ張りすぎないように注意しないといけません。

《下顎左側臼歯部》

咬合平面に沿ってラバーチップの根元が口角と接触するまで挿入し歯列に10度の角度を持たせます。小臼歯の場合は、チップの位置を前方に移動させると外れることがあるので危険です。7の頬面を切削するときは、チップを6あたりまで前方に移動させます。

《上顎前歯唇側》

ラバーチップの先端部分を歯の切端の真中に接触させ、口唇を少し持ち上げるようにしながら挿入します。

ラバーチップを歯頸線と歯の中心線の交差から4㍉ほど歯肉方向にスライドさせると、タービンの水を吸収し、診療部位の視野を確保し、同時に口唇の保護にもなります。

《下顎前歯唇側》

チップの切り口で歯肉を傷つけないように注意しながら歯の切端の真中に接触させ歯根方向にスライドさせて吸引し口唇がチップから外れないように保持します。

《上顎前歯口蓋側》

ラバーチップを左側犬歯にあてて吸引し、時々臼後三角で溜った水を吸引するようにします。

バキュームチップの位置はタービンとミラーの間に位置させます。

《下顎前歯舌側》

ラバーチップの切り口は下顎方向にし、患者さんの左口角を軽くおさえて保定します。

バキュームチップの背面で下唇を少し圧排し、下唇の口腔前庭にはコットンロールをチップの背面に挿入しなよう気をつけます。

タービンの動きの妨げにならないように舌を保持することも大切だと教えてもらいました。

《バキュームを挿入してはいけない部位》

・軟口蓋

・口蓋垂

・舌根部

実習

3人チームになり各グループに衛生士さんが1人づつついてくだりました。

1人が術者、1人が患者さん、1人が助手になりローテーションで衛生士さんのアドバイスを受けながらバキュームテクニックの講習を受けました。

普段体験しない術者、患者様の立場にもなり「ここなら術者の妨げにならない」や患者さんが痛くない、不快にならない挿入速度、挿入位置を発見出来ました。

とても質問しやすい雰囲気で今まで吸引しにくいと思っていた位置、実習中に疑問に思ったことはすぐに質問でき解決出来ました。

助手をする上で基本となるバキュームテクニックを学べたことで今まで不安だったバキュームに自信をもてるようになり、治療部位が自分から見えやすくりました。奥に溜まった水も吸いやすくなれたりと講習後から学んだことを体感できこれからもバキュームだけでなく他のことも学ぼうと思えました。これから患者さん、術者への負担が少ないバキュームを心がけます。

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