令和6年12月8日大阪府歯科保険医協会にて講習会が開催されたので、参加しました。講師は大阪大学歯学部大学院教授 林美加子先生 演題は「診療ガイドラインに沿ったう蝕治療:根面う蝕のマネジメントと歯髄保護」です。前半は根面う蝕処置をガイドラインに沿って、どう治療するか説明がありました。
・う蝕進行抑制にフッ化物配合歯磨剤とフッ化物配合洗口剤の併用
・活性が高ければ5,000ppmの歯磨剤(輸入品)を使用
・サホライド使用
歯肉縁下う蝕:GICマルチイオン徐放性材料(ケアダインレストア)を修復剤に用いる
でした。
後半は歯髄保護についてでした。患者様はう蝕を取るのは歯科医師として当たり前!と思っているかもしれませんが、う蝕を確実に除去できる歯科医師は少ないです。今回は深在性う蝕(不可逆性)をどこまで取るかを重点的に講義をされました。歯髄に達するう蝕は、ヨーロッパでは露髄しないようにギリギリまでう蝕を除去し、修復する方法が主流だそうです。(エナメル質直下のう蝕除去が重要)
アメリカでは、う蝕は全部除去し抜髄・全部断髄・部分断髄・直接覆髄を選択するのが主流だそうです。ただ、不可逆性歯髄炎の見極めが重要だとの事です。特に深いう蝕の場合、4,5年の予後は悪く抜髄になるケースが多いとの事でした。浅在性で可逆性歯髄炎の場合は、ネオクリーナーで洗浄・消毒後5分で止血するか確認し、プロルートMTAかスーパーMTAペーストで歯髄保護後修復するのが良いとの事でした。深在性齲蝕処置はまだ分からないことが多いため、今後の研究が待たれます。う蝕という歯科医師にとっては一番大切な分野ですが、まだまだ奥が深いと思いました。
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